血中乳酸値がALSの予後判定バイオマーカーとなることを、滋賀医大脳神経内科と豪クイーンズランド大学との国際共同研究によって明らかにし、Annals of Neurology誌に発表しました。
Nakamura R, Steyn FJ, Kobashi S, Ogawa N, Kitamura A, Yamakawa I, Henderson RD, Ngo ST, Urushitani M. Blood Lactate as a Prognostic Biomarker for Survival and Weight Loss in Amyotrophic Lateral Sclerosis: An Exploratory–Validation Study. Ann Neurol, 2026, doi.org/10.1002/ana.78184
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滋賀医大脳神経内科の中村竜太郎先生(現クイーンズランド大学博士研究員(海外学振PD))は滋賀医大入院中のALS患者の生命予後が血中乳酸値と正相関することを見いだし、クイーンズランド大学のALS患者において同じ関連が見られることを確認しました。ベースラインの血中乳酸値の動態は、その後のBMI変化と密接に関連しており、さらに患者血液のトリグリセリド(中性脂肪)や遊離脂肪酸、ケトン体との有意な相関関係から、乳酸が低値な患者は糖や脂質をうまく利用できていないという可能性が示唆されました。
本研究により、乳酸は簡便に測定可能なバイオマーカーとして、ALS患者の栄養・代謝状態の評価や、体重減少・生存期間の予測などに有用である可能性が示されました。体重減少はALSの生命予後に大きく影響するため、乳酸値が低い患者に対して早期から積極的な栄養サポートを行うことが、予後の改善につながる可能性があります。血中乳酸値を指標とした栄養学的介入研究などの、より実践的な検証へと発展することが期待されます。