主要な病気の解説
その他の筋肉の病気
a.筋炎
筋肉の炎症が生じて、筋力が弱くなる病気ですが、原因は様々です。代表的な多発筋炎、封入体筋炎について解説します。
◆皮膚筋炎
膠原病の1つで、国が定める指定難病です(皮膚筋炎/多発性筋炎(指定難病50) – 難病情報センター)。皮膚の症状(色調が変わり、固くなるなど)と手足の筋力が低下します。ときに間質性肺炎という重い肺の病気を合併することもあります。診断は、筋電図(ALSで説明しました)で筋力低下は運動神経が原因(神経原性)ではなく、筋肉に原因があること(筋原性)を確認し、血液検査で、原因となる自己抗体を確認します。間質性肺炎を合併することもあるので、呼吸器内科医と相談しながら診療をします。治療は副腎皮質ホルモンや免疫グロブリン製剤、さらに免疫抑制剤など、免疫療法と言われる治療を行いますが、極めて専門的な治療です。少なくとも初期は、専門医による治療が望ましいです。
◆封入体筋炎
中高年で発症する筋肉の病気では最初に疑う病気です。指を握る筋肉、太ももの筋肉が障害されやすく、握力の低下や階段の昇り降り、椅子から立ち上がることが苦手になります。症状に左右差があることも診断の手がかりです。舌や喉の筋肉にも症状が出ることがあり、飲み込みが困難になる場合がありますが、通常呼吸には問題がありません。診断は筋電図で筋原性を確認するとともに、筋肉のエコーとMRIを行います。封入体筋炎は障害されやすい筋肉とされにくい筋肉があり、エコーやMRIはそれが確認できます。確定診断には入院して筋生検を行います。
b. 筋ジストロフィー
◆筋肉の構成成分が様々な原因によって、無くなってゆくことで筋肉が萎縮し、力が弱くなる病気であり、指定難病です(筋ジストロフィー(指定難病113) – 難病情報センター)。非常にたくさんの病気が知られており、発病の年齢も出生時や幼少時から、成人まで様々ですが、高齢で発症することは極めて稀です。多くの病気は原因となる遺伝子がそれぞれ判明しており、遺伝子に変異(遺伝情報が書き換わった)を確認すれば診断が可能です。
◆成人の疾患で最も頻度が高いものは筋強直性ジストロフィーです。太ももの筋力の低下が目立ち、しゃがむと立ち上がることが困難となる場合が多いです。筋肉がこわばり、握った拳を開くときに指の筋肉が硬直して開きにくい、あるいは筋肉が突っ張って痛い、という症状が出ることもあります。筋肉の症状以外に心臓(不整脈や心不全)、ホルモン(甲状腺機能低下症)、糖尿病、白内障など全身の様々な病気を合併することがありますので、常に全身をしっかりと見ていただくことが重要です。
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