主要な病気の解説
多発性硬化症
どんな病気?
◆身体の免疫機能が過剰になって、脳や脊髄、視神経の機能が障害される病気です。神経細胞は一本の長い突起をもち(軸索といいます)、突起の中を電気信号が伝わります。軸索内の電気信号を早く伝えるために絶縁体として働いているのが髄鞘(ずいしょう;ミエリンといいます)です。多発性硬化症(略してMSと呼ばれます)は髄鞘がダメージを受ける(脱髄といいます)ことで、神経の信号伝達が障害されて様々な症状が出現します。難病に指定されています(多発性硬化症/視神経脊髄炎(指定難病13) – 難病情報センター)。

◆主な症状は目の症状(視神経の障害)、手足の運動や感覚の症状(脳や脊髄)、排尿障害などが起こります。病気の経過はMSに特徴的で、脳や脊髄のある場所の脱髄で発症した後、治療によって、あるいはときに症状が改善しても、しばらくすると別の場所に脱髄が生じるという「再発・寛解」を繰り返すことです。一部の患者さんでは最初から進行性の経過をたどることがありますが、頻度は非常に低いです。
◆診断は問診と診察に加え、脳や脊髄のMRI(通常造影剤を使います)、腰椎穿刺によって脳脊髄液を採取し、MSで見られやすい異常所見(脳内の免疫活動が過剰になっていること)を確認します。しかしMSに特有の検査所見はないため、症状がよく似た他の病気(視神経脊髄炎など)を除外することも大切です。ときには脳腫瘍と間違われることもあります。診断には極めて高い専門性が必要ですので、脳神経内科の専門施設の受診をおすすめします。
治療は?
◆発症時は入院の上、副腎皮質ホルモンを点滴し、脳で起こっている炎症を抑えます。通常は非常に有効です。予防としては近年、非常に有効な飲み薬や注射薬が利用可能となり、MS患者が再発する機会は劇的に減少しました。MSは発作を起こすたびに視力や運動機能の障害が後遺症として残ることがありますので、再発を抑えることが重要です。これらの新しい治療は有効ですが、副作用もあり、患者さんの状態によって使い分けが必要です。この病気の経験が豊富な脳神経内科の専門施設で治療行うことが必要です。
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