からだ(手や足、頭部、口や舌など)が勝手に動く病気

主要な病気の解説

からだ(手や足、頭部、口や舌など)が勝手に動く病気

意図しないのに、手が震える、ビクッと動く、ねじれるように動く、踊っているかのうように動く、口をクチャクチャさせる、といった症状を「不随意運動」といいます。様々な症状がありますが、運動ごとに名前がついています。不随意運動だけが症状の病気もありますが、中には何らかの疾患の症状の一つ(部分症状といいます)であることもあり、まさに脳神経内科医の専門性が問われる症状・病気です。 

a. 振戦

いわゆるブルブルとした「震え」です。長い時間重いものを持ったり、年を取れば誰でも、指先が一瞬細かく震えることはあります(生理的振戦といいます)。生理的ではない病的な振戦を認めた場合に、疑われる主な病気は3つ、パーキンソン病、本態性振戦、甲状腺機能亢進症です。パーキンソン病の特徴は「安静時振戦」(パーキンソン病の説明を見て下さい)、本態性振戦の特徴は字を書くときなど手を使う際に震えが強いこと、首や声の震えを認めることです。そして「お酒を飲むと震えが軽くなること」も特徴です。パーキンソン病とは違い、震え以外の症状は通常認めません。血縁者にも同様の震えがある場合は、より可能性が強くなります。甲状腺機能亢進症は「バセドウ病」とも言われます。首や手の細かい震えで、首にある甲状腺から作られるホルモン量が正常より高くなると発症します。通常若い女性に多く、首周りが太くなる、お腹がゆるくなる、体重が減る、汗かきになる、そして眼球突出(目がパッチリする、とおっしゃる方もいます)など他の症状を伴いますが、中年で震えだけで発症する場合もあります。振戦の治療はまず、原因の病気があればそれに対する治療を行います。そして振戦の病名によって有効な薬が異なりますので、脳神経内科で診察を受けられることをお勧めします。

b. ジストニア 

筋肉が異常に収縮するために生じる症状で、「ねじれる」様な動きが特徴です。体の様々な場所で見られますが、特定の動作をするときに出現することが特徴です。起立や歩行時に身体をねじる「捻転ジストニア」、字を書くときに手首や指が硬直して書きにくくなる「書痙」、まっすぐ向こうとしても首が横を向いてしまう「痙性斜頸」、そして目を開けようとしても瞼に力が入って開けにくくなる 「眼瞼けいれん」、またあごの筋肉が硬直して口を開けにくくなる「顎ジストニア」があります。一部の病気は遺伝性で、ジストニア以外の症状を伴うこともあります。遺伝子が判明しているものも多く、指定難病です(遺伝性ジストニア(指定難病120)– 難病情報センター)。ジストニアによってはボトックスというお薬が有効です。

c. 本態性振戦

手や首、そして声に震えが起こります。手の震えはパーキンソン病とは異なり、字を書くときやお箸を持つときに強くなります。お酒を飲むと劇的に改善することが特徴です。治療としては高血圧に用いるお薬が震えを抑えるのに有効ですが、心電図に異常がある方や脈が遅い方、血圧の低い方には使いにくいです。その他にけいれんに対してつかわれるお薬も処方されることがありますが、劇的な効果は期待できません。一方、最近は震えに対して電極を埋め込む手術(深部脳刺激術)や頭皮から超音波を当てて震えの原因となる脳深部の構造を焼却する治療なども行われており、振戦が劇的に改善することもあります。適切な治療のためには正しい診断が大切です。脳神経内科専門医におかかり下さい。 

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