滋賀医科大学 内科学講座 脳神経内科ホームページ トップに戻る

臨床について

臨床活動

滋賀医大附属病院脳神経内科は脳神経内科専門医9名(関連講座を含めると12名)と滋賀県随一の専門医数を誇り、脳卒中を始めとする急性期疾患から、認知症などのコモンディジーズ、さらに筋萎縮性側索硬化症(ALS)や脊髄小脳変性症などのいわゆる難病と言われる神経変性疾患まであらゆる疾患に対し、高度で最新のエビデンスにも説いた診断と治療を提供しています。全てのスタッフはハイレベルのオールラウンドプレイヤーですが、脳卒中、神経難病、神経生理診断など、各々サブスペシャルティを持ち、あらゆる神経疾患に対応します。大学病院として患者さんのためにできることは何かを常に考え、脳卒中は脳神経外科との共同で血管内治療を積極的に進め、神経難病患者には医師主導治験や新薬の企業治験を取り入れることで治療の機会を少しでも広げる努力を行っています。リハビリテーション部との共同で独自の神経リハビリテーションプログラムの導入や、意思伝達や手指運動などのリハビリテーション支援装置を積極的に導入し、着実な成果を上げています。滋賀医大は滋賀県難病医療連携協議会事務局が設置されており、難病医療政策について滋賀県と綿密な意見交換や提言をし、県内の難病患者の医療、在宅環境が向上すべく、医療従事者研修会や難病ネットワーク研修など様々な公的活動も進めています。

2017粘土入院症例内訳

神経難病の最新エビデンスに基づく診断・治療と、病診連携ケアの両立

脳神経内科が扱う主な疾患が神経変性疾患です。パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄小脳変性症、アルツハイマー病などの認知症などが含まれ、根治的な治療法がなく慢性進行性の経過をたどるため神経難病とも言われています。以前は原因や病態の手がかりが全くなく、打つ手建てがありませんでしたが、最近原因となる遺伝子や、脳に蓄積する異常なタンパク質、それらによって起こる脳や脊髄での異常な仕組みが次々と明らかになりました。研究レベルでは有望な新規治療法が報告され、新薬も使用可能となっていますが残念ながら根底的な治療法の開発には至っていません。我々はALSに対する抗体療法、再生療法の開発研究を進めるとともに、医師主導治験や新薬に関する企業治験には積極的に参加し、治療の機会を少しでも広げる努力をしています。ウェアリングオフやジスキネジアなどの運動合併症が生じたパーキンソン病長期罹患患者に対しては、適切な内服治療を試みた後、効果不十分な場合、レボドパ十二指腸持続注入療法(デュオドパ)や深部脳刺激術(湖東記念病院)を導入し、良好な治療成績を挙げています。さらに医師、看護師のみならず、リハビリテーション、栄養管理スタッフ、そして神経難病専属の臨床心理士などからなる難病連携チームを作り、在宅治療を希望される難病患者の意思を如何に尊重するかを考えながら、患者とご家族に寄り添う病診連携ネットワーク作りに努めています。

【2017年度の医師主導治験実績】

I. 孤発性筋萎縮性側索硬化症に対するペランパネルの第 II 相臨床試験
II. 筋萎縮性側索硬化症に対するメチルコバラミン(E0302)の第 III 相臨床試験

医師主導治験、臨床研究についてはコチラをご覧ください。

 

「外来」病診連携 「入院」診断・告知~受容まで

 

 

神経難病の最新エビデンスに基づく診断・治療と、病診連携ケアの両立

神経難病連携医療チームミーティング

疾患発症のメカニズムや、研究レベルでは治療薬の開発研究が進んでいますが有効性は限られています。我々は神経難病患者さんに対する最も有効な治療の1つはリハビリテーションと考えています。特に筋力低下が軽度ないしは伴わない小脳失調、痙性対麻、パーキンソン病においては筋肉の再教育が有効な可能性があります。滋賀医大脳神経内科はリハビリテーション科・部内の専門医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士と協力して、独自の神経難病リハビリテーションプログラムを作成しました。まずは小脳性運動失調の集中リハビリテーションプログラムを開始しました。今後は痙性対麻痺、パーキンソン病など対象疾患を拡充する予定です。

脳卒中の超急性期ハイブリッド療法

 

脳卒中の超急性期ハイブリッド療法

脳梗塞は発症後4時間半以内であればt-PA(アルテプラーゼ)による血栓溶解療法が最初の治療となりますが、t-PAの無効例や4時間半以降の症例においても8時間以内であれば血管内治療による血栓回収が有効等言われています。2015年に発表されたESPCAPE試験では、標準内科治療群と血管内治療を加えた治療群について、脳梗塞発症後90日後の機能予後を比較したところ、modified Rankinスケール(機能予後の指標)にて血管内治療群で有意に改善しました(Goyal M. et al.: N Engl J Med. 372: 1019, 2015)。我々は、超急性期脳卒中患者に対しては脳神経外科と連携し、脳神経内科でt-PAを行うと同時に、あるいは行った後の反応性に応じて積極的にカテーテルによる血管内治療を行っています。2015年の急性期脳梗塞患者においてt-PA治療は20%、ハイブリッド治療は8%と、全国の平均実施率を大きく上回っています。入院後の神経リハビリテーションも充実しており、退院時に大きな機能改善が得られています。

脳卒中の超急性期ハイブリッド療法

 

神経筋疾患の高度診断と治療

滋賀医大脳神経内科は、従来糖尿病性末梢神経障害を中心とした神経疾患診療において全国をリードしてきました。特に糖尿病性の末梢神経障害性疼痛の治療においては豊富な経験を有します。我々はさらに、筋電図、神経伝導検査、誘発電位などの電気生理学手検査を充実させるとともに、非侵襲的で高い網羅的診断の力を有する神経筋超音波検査を新たに導入し、電気生理やMRIのみで診断が困難な症例の診断に成功し、既存の疾患で新たな知見を得ております。放射線科との連携も蜜で、特種な神経根や末梢神経疾患の診断のための特種なMRIの撮像方法の導入にも力を入れて診断能力を向上させ、多くの診断困難例のご紹介を受けています。末梢神経障害診療では、ステロイドや免疫グロブリン、血漿交換などの免疫治療、あるいは手術によって改善する疾患を見逃さないことが重要です。末梢神経障害の症状でお困りの方は一度受診されることをおすすめします。

神経筋疾患の高度診断と治療